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WHOは2001年10月、送電線や家電製品からでる50〜60ヘルツの低周波電磁波について、小児白血病に関する疫学研究の検討結果から「発がん性の可能性がある」という見解を公表した。これはWHO傘下の国際がん研究機関(IARC)がまとめたものだ。IARCの評価レベルは、「発がん性がある」「おそらく発がん性がある」「発がん性の可能性がある」「発がん性を分類できない」「おそらく発がん性はない」の5段階に分かれる。このちょうど中間で、これまで同じレベルと評価されたものには、ガソリンエンジンの排ガスや溶接煙、コーヒー、山菜のワラビなどがある。小児白血病は0〜14歳では、年間10万人に4人が発症するとされている。IARCは検討結果から、低周波電磁波を0.4マイクロテスラ以上の強さで受ける居住環境では、発症が2倍になる可能性があるとした。これは送電線の下などに常時居続けた場合で、家電製品を普通に使っているレベルの0.4マイクロテスラ未満の環境では発症に変化はなかったという。また、動物実験では、発がん作用を裏付ける証拠はなく、WHOは「どんなメカニズムで小児白血病に関係するのかは、未解明で、新たな研究が必要だ」とし、他の疫学調査なども踏まえ、03年までに電磁波の健康影響について最終的な「環境保健基準」をまとめる方針でいる。
●国際共同調査
WHOは現在、05年までの10年計画で「国際電磁界プロジェクト」を進めている。さまざまな周波数の電磁波の健康リスク評価作業に、英国放射線防護局、米国食品医薬品局(FDA)などの研究機関と日本を含め45カ国が参加している。 携帯電話については、世界で脳腫瘍患者と一般人各3000人を対象に使用頻度などを比較する共同調査を実施中だ。日本もこの一環で総務省が00年12月から脳腫瘍患者と一般人計1000人以上を目標に、携帯電話使用時間やアンテナを伸ばして使っていたかどうかなどを聞き取り調査している。03年ころには最終結果がまとまる予定だ。
また、同省は携帯電話と同じ800〜1500メガヘルツ(メガは100万)の高周波電磁波をラット頭部に長期間や短期間、照射して記憶障害や血流の変化を見る実験も続けている。これまでのところ、生理的変化や記憶学習の低下など何らかの影響を示すデータは出ていない。
2年間照射した後、脳腫瘍ができていないかなどを調べる長期実験も00年5月に開始したためまだ途中だ。結果は早ければ今年中にまとまるという。
●予防対応は
電磁波の安全性がはっきりしないのなら、不確実なリスクは避けるという「予防原則」を取る必要があるのだろうか。総務省の生体電磁環境研究推進委員会は昨年一月の中間報告で「現時点では予防原則を採用する必要はない」という見解を明らかにした。携帯電話については、総務省が昨年6月に電磁波の許容量を規定する省令を改正し、側頭部が吸収する電磁波のエネルギー量を最大で「体重1キロあたり2ワット以下」とした。市販の機種はこの基準をクリアしているという。委員長の上野照剛・東大教授(生体情報学)は「携帯電話の電磁波は非常に弱いエネルギーで、狂牛病や遺伝子組み換え食品と違い妥当な予防措置が講じられている。ただより安心して携帯電話などを使えるよう、細胞内の微小な変化をとらえるようなきめの細かい研究を進めたい」と話す。
●相互作用に注目
国立公衆衛生院の大久保千代次・生理衛生学部長は、01年6月に米コロラド大の研究グループが、電磁波が発がん性物質の生成にかかわっている可能性があることを示した発表に注目している。
研究グループは、子供の白血病発症率が送電線との関連に加え、交通量の多い居住地域ほど高くなっているデータを確認した。理由として、ベンゼンなどの揮発性有機化合物が電磁波の影響で化学的に変化し、がんの発症リスクを高めているのではないかと推測した。
大久保さんは「これまで電磁波の生体影響の研究は電磁波の密度についてのみ考察され、はっきりした結論がでない状態だった。しかし、別のものと電磁波との相互作用を探れば、メカニズム解明が進むのではないかと話している。
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